「ハリスツイード」の名声は、ヴィンテージ好きの枠を飛び越え、服好きのカ垣根を乗り越え、一般の生活にまで浸透しました。
おそらく、イオンやしまむらの影響によるところも大きいのでしょう。
しかし、近年の「柔らかく」「ふわっとした」ツイードでは物足りない。
そんな気難しいというか面倒くさい気質を持ち合わせての「服好き」
(個人差もありますし。私見ですし。)
こんな重厚(鈍重)なコートも所有しております。
こちらは更にヴィンテージ・・・
しかし、この大げさを具現化したようなコートはなかなか使い勝手が悪く、もう少し使用頻度が高められそうな「ジャケット」あたりで商品を探しておりました。
前略
そんな折、オークションで数千円で獲得したジャケット。
しかし、微妙にパターンが合わない。
「じゃけっと、あまりいじくるべからず/孟シ」
の格言はありますが、
「着れない服に明日はない、切れぬわけではあるまいし/孔シ」
という教えに則り
えいやっと、お直しに出したものがあがりました。
概要
Dunn&co tweed jacket
写真が下手でのっぺり
Dunn&coといえば、創業1880年代という名ショップ。
イギリスらしい、肩が張りウエストが括れたシルエットはお馴染みのもの。
「古いハリスツイード」自体は結構簡単に出てきます。
問題は「シルエット」が古臭いことなんですね。
そこの問題をクリアしてくれるのがDuun&coだと考えています。
古いハリスツイードの魅力とその問題
歴史について
冒頭にも書きました「ハリスツイード」はみんな知っているものです。
しかし、古いツイードとこの現行ものは勝手が違います。
すでに有名ではあると思いますが、1993年のハリスツイード条例以前と比べると、現行ものは近代化の波に乗り「柔らかい」生地になっています。
これはこれで魅力的であることには変わりませんが、「ヴィンテージ」にこだわるのであれば、「旧織機」による古いものを選びたい所。
ゴワゴワで固いですが、厚みとコシのある生地は歴史を感じさせてくれます。
なお、その魅力については、ハリスツイードに関する知見を多く持つ、このサイトへどうぞ。
シルエット古臭い問題対策
さて、そんな「古いハリスツイード」は~60sまではすぐ見つかるのですが、問題はシルエット。
結構古臭くあります。
特に2つボタンの物はVゾーンもかなり広く合わせるのに苦労します。
そのための解決方法としては
- お直し
- 3つボタンを買う
- Dunn&Coを買う
- 90s初期を狙う
のがいいのではないかと個人的に思います。
- お直し
「もう、直しちゃおう」ということですね。
というかある程度はここに頼ることが大事です。
個人的な雑感ですが、大手のお直し屋さんも事業拡大に伴い、「あまりよろしくない」例も出てきております。
百貨店お抱えや個人テーラーに頼むのも手でしょう。
まるすけさんのblogにこのような記事が。
参考になります。
- 3つボタンを買う
3つボタン自体、流行ではないですが、あまりに広いVゾーンの2つボタンよりは着やすい印象です。
ここはお直しで弄れないので、僕はこの手をよく使います。
ボタン自体は変えちゃったりね。
- Dunn&Coを買う
さて、ここで本題。
古臭いデザインのツイードジャケットにあって、比較的シルエットが秀逸なのが、このDunn&Co。
初期ラルフローレンのような、「肩を張り、しっかりとくびれる」というシルエットの物が多いです。
流行りのなで肩ラインではないですが、「designもの」に通じる肩のラインは着ていてかっこいいです。
- 90s初期の物を買う
ヴィンテージではなくなってしまうかもしれませんが、90sにもまだまだ古き良きツイードの残像があった感じです。
昔所有していたカナダ製SEARSのハリスツイードジャケットは、比較的着やすいシルエットに、腰のあるツイードでした。
カナダ製のハリスツイードジャケットはオーブのタグが青いのですぐわかります。
著名人や雑誌
日本では、白洲次郎が
ツイードなんて、買って直ぐ着るものじゃないよ。3年くらい軒下に干したり雨ざらしにして、くたびれた頃着るんだよ
といったり、いろいろな著名人が「すぐに着るな」といったりしたことで有名です。
3年野晒、雨晒にするとどうなるかわかりませんが、それに耐えうる記事の体力と持ち主の指針力があればよい経年変化を求められるということでしょう。
ヘビーデューティーですね。
なお、この辺のBrutusにその逸話が書いてあったと思います。
また、このfree&easyに同じジャケットが載っていました。
最近発見し笑いました。
ディテール
右胸にDunn&coのタグ。
一方で、左胸にはHarrisタグもつきます。
これは60sですね。
判別がしやすいのは助かりますが、シリアルナンバーは擦り切れていて、うっす~~くなっていいます。
残念。
さて、生地を拡大してみましょう。
ベージュ、白、緑、茶、水色、黒。で織り込まれた千鳥格子。
多色ですが、配色が絶妙で落ち着いています。
ボタンはクルミボタン。
剥げてきているので、変える必要がありますね。
袖口にもほつれがあります。
この辺りはどんどん修理して、ハリスツイードっぽい雰囲気を出していきたい。
なお、一つボタンの開きみせ。
本ぜっぱでない仕様が、「代々受け継いでいく」思想にマッチしますね。
切羽についてはこの動画分かりやすいです。
もっとココ見て!ティアマニアの世界(袖口のボタン編)|ティアモ・ラ・モーダ No.47
今回は一か八か肩も少しいじりました。
パット悪くなってましたが、これで十分戦える肩に。
もっと馴染ませた方がかっこいいでしょう。
チェンジポケットもスラントポケットも。
英国的なディテールですね。
着画
まだまだツイードが「若く」恥ずかしいですが(笑)
Dunn&COらしいくびれが気に入ってます。
この写真のもと生地はこちら
まとめようナ
Dunn&Coのジャケットやハリスツイードはヴィンテージ市場の中でも安く買えます。
気軽にヴィンテージ入門する方にもってこいなのではないでしょうか。
「服好き男はやがて、生地オタクになる」
という言葉を昔ショップ店員にいわれましたが、特にツイードはロマンがありますからね。